左上腕伸側にみられたAtypical Deep Penetrating Nevusの1例

Atypical deep penetrating nevus on the extensor side of left upper arm

49歳，男性。20年前より左上腕伸側に徐々に増大する18×11mm大，境界明瞭で不整形な青黒色結節を認めた。ダーモスコピーでは灰青色～黒色の無構造領域がみられた。青色母斑を疑い2mmマージンで切除した。組織は病変左側に大型の異型メラノサイトが孤立性ないし小束状に真皮深層まで増生していた。異型メラノサイトにはβ-cateninの核内発現がみられatypical deep penetrating nevusと診断した。一方，病変右側には異型の乏しい母斑細胞が真皮浅層で胞巣を形成して母斑細胞母斑の像を呈し，全体は結合母斑の形をとっていた。β-cateninはatypical deep penetrating nevusと他の真皮メラノサイト系腫瘍との鑑別に有用であるが，特殊な検査であるため本邦でのatypical deep penetrating nevusの報告は少ない。今後さらなる症例の蓄積と解析が待たれる。