BCG膀胱内注入療法後に発症したMycobacterium bovis BCGによる前胸部皮膚結核の1例

Cutaneous tuberculosis on the anterior chest caused by Mycobacterium bovis BCG occurring after intravesical Bacillus Calmette-Guerin therapy

60歳，男性。膀胱上皮内癌に対して，当院初診の約3年前から1年前まで前医でBacillus Calmette-Guerin（イムノブラダー^®）膀胱内注入療法を受けていた。2カ月前に右前胸部に疼痛と腫脹が出現した。1カ月前に前医にて穿刺排膿が行われ，培養結果で結核菌群が陽性となった。初診時，右前胸部に囊腫があり，全体に波動を認めた。穿刺排膿を行い，穿刺液の遺伝子検査によりMycobacterium bovis BCGと判明した。BCG膀胱内注入後に発症したMycobacterium bovis BCGによる皮膚結核と診断した。同疾患の好発部位は陰囊や亀頭であり，膀胱から離れた前胸部に出現した症例はまれである。BCG膀胱内注入後に出現した皮膚病変では，尿路から距離のある病変でも，Mycobacterium bovis BCGによる皮膚結核の可能性を念頭に置く必要がある。