特集 病態から考える薬物療法
第XV章 真菌症
1 白癬
常深 祐一郎
1
Yuichiro TSUNEMI
1
1埼玉医科大学,皮膚科
キーワード:
白癬
,
免疫
,
治療
,
抗真菌薬
Keyword:
白癬
,
免疫
,
治療
,
抗真菌薬
pp.920-926
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003292
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白癬は,白癬菌が皮膚の角層およびその特殊形である毛や爪に寄生する感染症である。白癬は部位によって頭部白癬,生毛部白癬(顔面白癬,体部白癬,股部白癬),足白癬,手白癬,爪白癬に分類することが治療方針の選択に有用である。手白癬は足白癬に準じるため,以下では頭部白癬,生毛部白癬,足白癬,爪白癬に分けて述べる。頭部白癬では鱗屑や脱毛がみられる落屑斑型(脂漏型,シラクモ型,gray patch ringworm)と,毛包内に感染した毛髪がとぐろを巻いて黒点に見える黒点型(black dot ringworm),毛包周囲に強い炎症を伴うケルスス禿瘡がある。生毛部白癬は鱗屑や紅斑,丘疹,小水疱が病変の辺縁に環状に並び,中心治癒傾向を示す。足白癬では趾間の浸軟や鱗屑(趾間型),足底の鱗屑や小水疱(小水疱型),過角化(角質増殖型)がみられる。爪白癬は,爪甲の肥厚や混濁が遠位や側面から始まる遠位側縁爪甲下爪真菌症(distal and lateral subungual onychomycosis;DLSO),爪甲表面だけが白濁する表在性白色爪真菌症(superficial white onychomycosis,以下SWO),爪甲の近位部から混濁が始まる近位爪甲下爪真菌症(proximal subungual onychomycosis;PSO),爪甲全体かつ全層に病変が及び爪甲が肥厚し脆弱化した全異栄養性爪真菌症(total dystrophic onychomycosis;TDO)に分類される。
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