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白斑は後天性に生じる脱色素性疾患のひとつであり,全人口の約0.5~1%が罹患するといわれている1)。近年の国際分類で白斑はvitiligoとsegmental vitiligoに分けているが,今回は便宜上,皮膚分節に沿って発症する分節型白斑とそれ以外の非分節型白斑と分けて説明する。まず,尋常性白斑を治療する前に,その他の脱色素性疾患を正確に除外する必要があり,筆者らは2012年尋常性白斑診療ガイドラインを用いて鑑別診断している2)。特に日常診療において,小児白斑では,Malassezia furfurの表在性感染である癜風や白色粃糠疹に加え,先天性に分類されるが1~3歳頃に気づくことが多い脱色素性母斑が鑑別に重要である。成人白斑で急速に進行する症例は,ぶどう膜炎・難聴・髄膜炎などを合併するVogt-Koyanagi-Harada病との鑑別を要し,ときに眼科や耳鼻科へコンサルトを行う。これらを除外し尋常性白斑と診断した後,特に非分節型では合併疾患のスクリーニングを行う必要がある。具体的には,Ⅰ型糖尿病,Addison病,円形脱毛症などに加え,甲状腺機能亢進症もしくは低下症の頻度が0.62~12.5%,抗サイログロブリン抗体やペルオキシダーゼ抗体が14.9~53.3%と高率に陽性となる3)4)。日本人の白斑のデータでは非分節型白斑の20.3%に自己免疫疾患の合併がみられ,甲状腺疾患12%,円形脱毛症5.3%と報告されている5)。したがって,これらの合併疾患を見つけ出すスクリーニング血液検査や,抗甲状腺抗体陽性症例にはFT3,FT4,TSH値,甲状腺超音波検査による精査が必要である。また,尋常性白斑患者の20~30%に家系内発症がみられるため,家族歴を聴取する6)。
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