特集 病態から考える薬物療法
第Ⅷ章 膠原病
4 Sjögren症候群
藤本 徳毅
1
,
國府 拓
1
Noriki FUJIMOTO
1
,
Hiraku KOKUBU
1
1滋賀医科大学,皮膚科学講座
キーワード:
Sjögren症候群
,
腺症状
,
腺外病変
,
病態
Keyword:
Sjögren症候群
,
腺症状
,
腺外病変
,
病態
pp.788-794
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003267
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Sjögren症候群は,涙腺や唾液腺といった外分泌腺の障害を特徴とする慢性の炎症性疾患である。臨床的にはドライアイやドライマウスといった乾燥症状を主症状とするが,全身の臓器障害を呈することも多い。抗SS-A/Ro抗体,抗SS-B/La抗体を代表とするさまざまな自己抗体が出現することなどから自己免疫疾患として捉えられているが,その病態は複雑であり,自然免疫異常と獲得免疫異常の両方が関わっている1)。病理組織学的には外分泌腺へのリンパ球浸潤を特徴とするため,自己反応性の炎症細胞浸潤により外分泌腺の破壊が生じて機能低下を呈する,と考えられがちである。しかし,外分泌腺組織での炎症の程度と機能低下の程度がそれほど相関しない2)こと,Sjögren症候群の動物モデルでは腺組織への炎症細胞浸潤を認める前から外分泌腺の機能低下がみられる3)ことなどから,他の機序により外分泌腺が障害されている可能性も提唱されている4)。また,Sjögren症候群は,40~60歳台に好発し圧倒的に女性に多いことから,エストロゲンなどの性ホルモンの病態への関与が疑われている。動物モデルにおいては,涙腺と唾液腺でアポトーシスが生じるのをエストロゲンが炎症により抑制しているという報告がある5)。
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