憧鉄雑感
第111回 有名外用薬接触皮膚炎顛末
安部 正敏
1
Masatoshi ABE
1
1医療法人社団 廣仁会 札幌皮膚科クリニック
pp.1165-1165
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002708
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かなり重症になって現れる接触皮膚炎患者に“何か塗られていました?”と訊くと,“オロナイン”との答えが返ることも多い。ならばパッチテストを……と,筆者にしては案外真面な診療を進める。筆者が学んだ教科書には“オロナイン皮膚炎”なる病名があり,過去使用していた界面活性剤がアレルゲンとなる記載があった。その本には,もっと知っておくべき希少疾患も多数記載されており,それらを記憶していれば今頃名医として崇めたてられたに違いないが,斯様な疾患のみ記憶していること自体情けない限りである。気を取り直して患者が持参する現物を確認すると,驚くべし,オロナインとは似ても似つかぬシロモノが登場する。一般市民は“軟膏=オロナイン”と信じ込む人も少なくなく,これはそもそも絶大な宣伝効果の証である。
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