銀海餘滴
独逸有名教授の最後
中泉
pp.578
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201867
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最近独逸の復興の華々しさが大声に叫ばれて日本の意気地なさが識者の間で問題となつているが戦時中の悲惨さは到底日本の比ではなかつたらしい。最近我眼科界の長老井上誠夫先生の許へ其の独逸留学当時の友人から(書信により世界的大眼科学者の末路がつたえられて来た。それによるとベルリン大学の教授(レーライン教授の前任者)は戦爭の為に精神病となり,独逸国中方々をさまよい歩いていたが,その中どことも知れず行路病者の様になつて死んでしまつたそうだ。
ケーニヒスベルグの教授ビルヒヒルシユフエルド教授はロシヤ兵に追い出されて行だおれとなつて死んだ。又令夫人も昨年死去した。
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