Japanese
English
症例報告
肢端に生じたSpitz母斑の2例
Two cases of Spitz nevus on acral regions
湯川 圭
1
,
吉岡 啓子
1
,
保坂 直樹
2
Kei YUKAWA
1
,
Keiko YOSHIOKA
1
,
Naoki HOSAKA
2
1社会医療法人生長会府中病院皮膚科
2社会医療法人生長会府中病院病理診断科
1Division of Dermatology, Fuchu Hospital, Izumi, Japan
2Division of Pathology, Fuchu Hospital, Izumi, Japan
キーワード:
Spitz母斑
,
色素性Spitz母斑
,
ダーモスコピー
,
globular pattern
,
悪性黒色腫
Keyword:
Spitz母斑
,
色素性Spitz母斑
,
ダーモスコピー
,
globular pattern
,
悪性黒色腫
pp.519-524
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207036
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要約 症例1:15歳,女性.3か月前より増大している左第5指の辺縁不整な黒色斑を主訴に当科を紹介され受診した.症例2:38歳,女性.1か月前より増大している右足底の黒色斑を主訴に来院した.ダーモスコピー所見では,いずれもglobular pattern,中央部でdiffuse regular black pigmentationを呈し,症例2では明らかなparallel patternは認めなかった.病理組織学的所見は,表皮真皮境界部に核異型を有する紡錘形細胞からなる腫瘍胞巣を認め,症例1では多核巨細胞も認めたが,病変はいずれも左右対称性で境界明瞭であった.免疫染色では,S100蛋白,Melan-A,HMB-45は陽性だが,p16はびまん性に陽性でありKi-67陽性率は低く,上記から2例をSpitz母斑と診断した.Spitz母斑は,若年者の頭頸部や下肢に好発し,手指や足底は稀である.悪性黒色腫との鑑別が困難であり,定期的なダーモスコピー所見の観察で侵襲的な手術を回避できる可能性があるが,一律に経過観察するのではなく,患者の年齢や理解度に応じた個々のアプローチが重要である.
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