巻頭言
凡人教授から若手医師の皆さんに伝えたいこと
下村 裕
1
Yutaka SHIMOMURA
1
1山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座,教授
pp.1599-1600
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000001616
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私は凡人である。いや,もしかすると凡人以下かもしれない。思えば,子どもの頃から授業の内容を完全に理解できたことなど一度もなかったし,今でも専門外の講演を拝聴するとまったくついていけないことがしばしばある。大学を卒業して皮膚科医になったときは,皮膚科学の知識・技能ともに同期の誰よりも習得するのが遅かったと記憶している。さらには極度の「びびり症」で,人前で話をするのが大嫌いである。44歳になった現在でも,座長や講演の演者を務める際には,緊張のあまり声が上ずったり滑舌が悪くなったりしてしまう。きっと,退官するまで生放送のウェブセミナーの講師を引き受けることはないであろう。英語だって苦手だ。私は4年間にわたり米国に留学する機会に恵まれたが,お世辞にも流暢に英会話などできない。現在の日本の皮膚科の教授陣のなかで,能力の低さという点では私が唯一無二の存在であろうと自負している。ということで,「私のような平凡な人間でも教授になれる場合もあるので若手医師の皆さんも頑張ってください」という結語で締めたいところだが,まだまだ指定された文字数に到達しない(つまり文才もない)ので,もう少しだけ読んでいただきたい。
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