特集 美しく老いるために―高齢化に備える皮膚科診療
第Ⅱ章 高齢者診療で遭遇する皮膚疾患
10 高齢者にみられるその他の皮膚疾患
-【COLUMN 8】老人性という病名は今の時代にそぐわない
相馬 良直
1
Yoshinao SOMA
1
1聖マリアンナ医科大学,皮膚科
キーワード:
老人性
,
加齢性
,
病名
Keyword:
老人性
,
加齢性
,
病名
pp.1014-1015
発行日 2018年5月31日
Published Date 2018/5/31
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000796
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皮膚科には老人性と冠される病名が多い。老人性疣贅,老人性色素斑,老人性角化症,老人性血管腫,老人性白斑,老人性面皰,老人性紫斑,老人性脂腺増殖症,老人性乾皮症などがすぐに想起される。これらは日常極めてありふれた疾患であり,診断する機会が多いが,その病名を患者に告げるのはためらわれる。なぜならこれらの病名を聞くとほとんどの患者はがっかりした表情をし,なかには拒否的な反応を示す人もいるからである。80歳を過ぎた老人に老人性の皮疹ができるのは当たり前で,何もがっかりする必要はないだろうと考えがちであるが,多くの患者はそうは受け止めない。「若いつもりであったがとうとう老人の仲間入りか」とショックを受け,「こんな若造に老人よばわりされ不愉快だ」と憤るのである。
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