診療
アトピー性皮膚炎の経皮的アレルゲン感作への対策
塩原 哲夫
1
,
水川 良子
1
1杏林大学医学部皮膚科
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
汗
,
基礎発汗
,
バリア機能
,
保湿剤
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
汗
,
基礎発汗
,
バリア機能
,
保湿剤
pp.183-190
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000768
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アトピー性皮膚炎(AD)の病因として,バリア機能の低下によるアレルゲンの経皮的感作が注目されている.一方,汗は皮膚の角層水分量を著明に増加させ皮膚の乾燥を防ぐ役割をしているにもかかわらず,AD発症における役割はほとんど注目されてこなかった.しかし実際,AD患者で検討してみると,皮疹発症前から非病変部でも著明な発汗障害を認め,病変の進行とともに全身性の発汗障害になっていくことがわかった.このような発汗障害は,住環境の低湿度化とライフスタイルの変化に加え,発汗をADの増悪因子と考え,発汗させないように指導してきた医師側の責任もあるかもしれない.発汗低下による皮膚の乾燥化こそがアレルゲンに対する感作を容易にし,ADの増大に大きな役割を果たしていると考えられる.それに対し,われわれはどのような方法で発汗を促せばよいのか,そしてそれにより,ADの発症を軽減させ得るかを概説する.
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