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視神経乳頭周囲の網脈絡膜萎縮を伴った64歳女性にみられた多発消失性白点症候群(MEWDS)の症例を経験したので報告する。64歳女性が1週間前からの左眼視野異常と光視症を主訴に受診した。視力は右0.7(1.2×+0.75D),左0.3(矯正不能)であった。両眼とも前房炎症はなかったが,左眼は硝子体中にわずかな細胞がみられた。右眼眼底は視神経乳頭周囲に網脈絡膜萎縮があり,脈絡膜中大血管が透見された。左眼視神経乳頭周囲にも軽度の網脈絡膜萎縮があり,後極部には大小さまざまな白色の点状および斑状病変が多発し,周辺部には白点が多発していた。眼底自発蛍光検査では右眼視神経乳頭周囲の網脈絡膜萎縮は低蛍光を呈し,内部に一部過蛍光が観察された。左眼も視神経乳頭周囲の網脈絡膜萎縮は低蛍光,白点状病変は小型の低蛍光を呈し,白斑状病変はやや淡い過蛍光を呈するものと健常部とほぼ同程度の蛍光を呈するものがみられた。光干渉断層計(OCT)では,右眼視神経乳頭周囲の網脈絡膜萎縮部位では脈絡膜毛細血管板の消失とellipsoid zone(EZ)およびinterdigitation zone(IZ)の欠損が観察された。左眼では中心窩周囲を除きEZは不鮮明で,IZは消失しており,網膜色素上皮レベルに鋸歯状の高輝度病変がみられた。Goldmann視野検査では,右眼はMariotte盲点の拡大,左眼は中心に3°程度の視野を残した約30°の絶対暗点とその周囲に比較暗点がみられた。フルオレセイン蛍光造影眼底検査では,左眼は眼底自発蛍光検査での小型の低蛍光部位にほぼ一致した造影早期の点状過蛍光を呈し,造影後期では淡い斑状の組織染として観察された。右眼視神経乳頭周囲の網脈絡膜萎縮病巣は低蛍光で,健常部との境界は帯状の過蛍光が観察された。以上の所見から,左眼はMEWDSと診断し,両眼の乳頭周囲にみられた網脈絡膜萎縮は長期経過した急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)による可能性があると推測した。受診3週後,左眼眼底後極部の白色病変は不鮮明になり,5週後にはほぼ消失し,8週後では周辺部の白点もほぼ消褪した。OCTではIZは消失していたが,不鮮明であったEZの改善傾向が観察された。左眼の絶対暗点は徐々に軽快したが,中心視野はわずかに残存する程度であった。MEWDSは近視眼の若年女性に好発するが,本症例は遠視眼の高齢者にみられたことと視神経乳頭周囲に長期経過したAZOORと思われる網脈絡膜萎縮がみられたことが特徴的であった。

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