症例報告
結膜に再発したNK/T細胞リンパ腫,鼻型の1例
鈴木 雄一朗
1
,
滝 陽輔
1
,
岩瀬 紗代子
1
,
牛田 宏昭
1
1名古屋大学医学部附属病院眼科
キーワード:
節外性NK/T細胞リンパ腫
,
ENKL
,
結膜腫瘍
,
結膜生検
,
extranodal NK/T-cell lymphoma
,
conjunctival tumor
,
conjunctival biopsy
Keyword:
節外性NK/T細胞リンパ腫
,
ENKL
,
結膜腫瘍
,
結膜生検
,
extranodal NK/T-cell lymphoma
,
conjunctival tumor
,
conjunctival biopsy
pp.1289-1297
発行日 2025年11月5日
Published Date 2025/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004449
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結膜悪性リンパ腫はその多くがB細胞性であり,NK/T細胞性の報告はまれである。今回われわれは,結膜に再発した節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型(extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type:ENKL)の1例を経験したので報告する。患者は65歳,女性。20XX年11月に左副鼻腔病変を呈し,生検でENKLと診断された。翌年1月に右乳房の腫瘤が出現し,生検でENKLの再発と診断された。その1年後に左眼の視力低下を自覚,結膜悪性腫瘍の疑いで当院を紹介受診した。左眼の矯正視力は0.2で,眼圧は5.5mmHg,サーモンピンク様の広範な結膜全周性腫瘤,虹彩後癒着,核白内障,硝子体混濁がみられた。前眼部光干渉断層計で結膜腫瘤に一致する高輝度病変が確認された。所見から悪性リンパ腫の鑑別目的に前房穿刺を施行したが,IL-10は高値ではなかった。Bモード超音波検査では網膜剥離などを疑う眼球内の高輝度反射がみられたため,結膜生検を施行した結果,結膜に再発したENKLと診断した。その後,左副鼻腔にENKLが再発したため,現在は自家末梢血幹細胞移植による加療を継続している。ENKLは予後不良な疾患である。また,結膜に浸潤した場合は他の結膜リンパ腫との鑑別に苦慮することが予想される。急速に所見が増悪する症例や,前房内や硝子体など眼内への炎症波及を認めるような症例では,ENKLを念頭に置いた診療が望ましい。

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