症例報告
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に合併し,内頸動脈狭窄を伴った網膜中心動脈閉塞症の1例
大田 大喜
1,2
,
渡辺 芽里
1
,
日下 寛惟
3
,
蕪城 俊克
1,4
1自治医科大学眼科学講座
2国際医療福祉大学病院眼科
3自治医科大学内科学講座 アレルギー膠原病学部門
4自治医科大学さいたま医療センター眼科
キーワード:
EGPA
,
CRAO
,
内頸動脈狭窄
,
血管炎
,
好酸球増多
Keyword:
EGPA
,
CRAO
,
内頸動脈狭窄
,
血管炎
,
好酸球増多
pp.739-744
発行日 2025年8月5日
Published Date 2025/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004251
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,壊死性肉芽腫性炎症により主に小~中血管が障害され,喘息と末梢血好酸球増多を伴う疾患である。網膜中心動脈閉塞症(CRAO)は閉塞原因によって,動脈炎性と非動脈炎性に分類される。今回我々は,EGPAおよび内頸動脈狭窄症があり,双方がCRAOの発症に起因したと考えられる症例を経験したので報告する。患者は63歳女性,6年前から難治性気管支喘息があった。微熱,下痢,下肢違和感と末梢血中の好酸球の著明な上昇がみられ,精査目的に当院呼吸器内科に入院した。気管支喘息,好酸球増多,発熱,両下肢の感覚障害等からEGPAの診断となり,ステロイド大量療法(パルス療法)が開始された。入院3日目,起床後から右眼が見えず,当科紹介となった。視力は右手動弁,左1.2(矯正不能),眼底は右眼cherry red spotがあり,CRAOの診断となった。頭頸部MRI/MRAを施行したところ,右内頸動脈狭窄を認めた。本症例では,EGPAの診断が先行し,動脈炎性の発症が疑われた。しかし右内頸動脈狭窄症も合併しており,EGPA発症とCRAO発症のタイミングがほぼ同時だったことから,元来喫煙などの影響で内頸動脈狭窄があった患者に,EGPAが発症したことで血管炎の要素が合併し,CRAOが発症したことが示唆された。

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.