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特集 好酸球細胞外トラップと疾患―― “エフェクター細胞” の新しい視点
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
-――好酸球細胞外トラップと免疫血栓
Eosinophilic granulomatosis with polyangiitis
――Eosinophil extracellular traps and immunothrombosis
橋本 哲平
1
Teppei HASHIMOTO
1
1兵庫医科大学医学部糖尿病内分泌・免疫内科
キーワード:
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
,
好酸球細胞外トラップ(EETs)
,
免疫血栓
Keyword:
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
,
好酸球細胞外トラップ(EETs)
,
免疫血栓
pp.195-198
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030195
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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,抗好中球細胞質抗体(ANCA)が出現する自己免疫性の全身性血管炎のひとつで,細動脈~細静脈の病変を主体とする.気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎などのアレルギー疾患が先行し,多臓器に好酸球が浸潤し血管炎を発症する.アレルギー病態から血管炎へ移行する機序は不明であるが,好酸球が病態の形成に重要な役割を果たしている.近年,IL-5を標的とした治療が保険適用となり,好酸球をターゲットとした治療の重要性が認識されてきた.さらに,これまでEGPAにおいて好酸球が炎症を起こす機序は不明であったが,EGPAのさまざまな組織内で好酸球がETosisという細胞死を起こしていることが確認され,好酸球顆粒タンパクによる炎症を起こしていることが報告された.また,微小血栓内にも多数の好酸球ETosisが同定され,これが免疫血栓とよばれる血栓病態を惹起していることが示唆された.好酸球ETosisの除去がEGPAの治療につながる可能性に期待が寄せられている.
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