綜説
サルコイドーシス:病因論から患者支援まで
石原 麻美
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 視覚器病態学
キーワード:
サルコイドーシス
,
疾患感受性遺伝子
,
アクネ菌
,
バイオマーカー
,
治療薬
,
患者支援
Keyword:
サルコイドーシス
,
疾患感受性遺伝子
,
アクネ菌
,
バイオマーカー
,
治療薬
,
患者支援
pp.343-351
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004118
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サルコイドーシスは原因不明の全身性炎症性疾患であり,多臓器(肺門縦隔リンパ節,肺,眼,皮膚,心臓,筋,神経など)に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が形成される。その臨床経過はさまざまであり,肉芽腫の自然消失により寛解に至る予後良好な症例から,慢性化し,さらには線維化の進行により重篤な臓器障害を引き起こす症例まで幅広い病態を示す。また,本疾患は人種・民族間で罹患頻度,罹患臓器,重症度や経過といった臨床像に差異がみられることが知られている。たとえば,日本人では眼病変および心臓病変の頻度が欧米人に比べて高く1),慢性に経過する症例も多い一方で,急性発症し,予後良好といわれるLöfgren症候群は欧米人に多く,日本人では極めてまれである2)。これらの多彩な臨床像の背景には,宿主の遺伝的要因や起因物質といった病因の相違が関与している可能性が示唆されている。

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