COLUMN―形態検査において知っておきたいこと
サルコイドーシスの病因
江石 義信
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1東京医科歯科大学人体病理学分野
pp.1201
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102645
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リンパ節生検によるサルコイドーシスの顕微鏡診断では,乾酪壊死のない成熟した類上皮細胞肉芽腫を認めることが診断の基本となるが,病勢の強い症例ではときに肉芽腫内部に好酸性壊死を伴うこともあり診断に苦慮する場合がある.このようなとき,リンパ洞の過形成所見やリンパ洞内にHamazaki-Wesenberg(HW)小体と呼ばれる細胞質内封入体を検出できれば診断の助けとなる.HW小体は,ヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin-eosin,HE)染色で黄褐色,ギムザ染色で深緑色,カルボールフクシン染色では鮮紅色の抗酸性を呈する.欧米の病理学教科書にも記載があるがその本体は不明とされている.近年,アクネ菌に特異的な単クローン抗体を用いた解析から,HW小体がマクロファージ細胞内に潜伏感染する冬眠型L型細菌である可能性が示唆されている.本菌の細胞内増殖を契機に,アレルギー素因を有する患者に肉芽腫が形成されるというアクネ菌病因説が,現在わが国を中心に検討されつつある.
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