症例報告
クリスタリン網膜症様眼底ならびに視神経管と強膜に異所性石灰化を認めた副甲状腺機能亢進症
寳田 耕治
1
,
神谷 隆行
1
,
木ノ内 玲子
1
1旭川医科大学眼科学講座
キーワード:
異所性石灰化
,
透析
,
クリスタリン網膜症
,
続発性副甲状腺機能亢進症
,
強膜石灰化
,
視神経石灰化
Keyword:
異所性石灰化
,
透析
,
クリスタリン網膜症
,
続発性副甲状腺機能亢進症
,
強膜石灰化
,
視神経石灰化
pp.921-926
発行日 2024年9月5日
Published Date 2024/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003774
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異所性石灰化とは骨以外の組織へのカルシウムの非生理的沈着であり,沈着部位によりさまざまな臓器障害をもたらす。今回我々は長期透析患者で異所性石灰化により視神経症を発症した症例を経験したので報告する。患者は54歳男性。主訴は左眼の視力低下で矯正視力が0.02であった。中心フリッカ値の低下があり,左眼の相対的瞳孔求心路障害が陽性であった。眼底は脈絡膜皺襞を認め,全体に白点病変がみられクリスタリン網膜症様眼底であった。動的視野検査では,両眼上鼻側に沈下を認め,左眼に中心暗点を認めた。視神経疾患を考えCTを撮像したところ強膜,視神経,視神経管に石灰化を認め,採血ではカルシウム,リン,クレアチニン,intact PTHの上昇があり,続発性副甲状腺機能亢進症を示唆する結果であった。視神経管開放術を検討したが,全身状態不良で実施できなかった。本症例は長期の透析により続発性副甲状腺機能亢進症をきたし,それが原因で視神経の石灰化と視神経管の石灰化による狭細化により視神経障害を起こしていた。長期透析患者で視神経症をきたした場合,CT検査を行い,異所性石灰化による視神経症を鑑別することは重要と考える。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.