特集 手術のタイミングとポイント
Ⅰ.白内障
眼内レンズ二次挿入―どんな眼でも眼内レンズ挿入は可能か
黒坂 大次郎
1
1岩手医科大学眼科学教室
pp.24-28
発行日 2006年10月30日
Published Date 2006/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100964
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はじめに
眼内レンズ(intraocular lens:以下,IOL)を二次挿入する機会というのは,一時に比べかなり減っている。通常の症例では,IOLの一次挿入が原則となっているためである。しかしながら,眼内レンズのパッケージを開け,説明書を取り出すと,そのなかに適応が禁忌とされている疾患が列挙されている(表1)。この禁忌症例は1987年に適応委員会が答申したもので,公的にはこの答申が現在も生きている。その後2002年8月には,日本眼内レンズ屈折手術学会から日本眼科学会理事長へ答申が行われ,禁忌項目を削除,適応を慎重にするものとして小児,先天性眼異常,角膜内皮障害,緑内障,活動性のぶどう膜炎,増殖性網膜硝子体疾患,重篤な術中合併症となっている。現在では現実との乖離があり,ほとんどの症例でIOL挿入は禁忌とは考えられなくなっている。このギャップを是正するために,現状を分析した特集も組まれている1~6)。
したがって,現状でIOLの二次挿入が行われるのは,適応には問題がなかったものの白内障手術の際に重篤な眼合併症が生じIOL挿入を控えた場合や,硝子体手術などとの同時手術でIOL挿入を控えた場合,過去の白内障手術の際にはIOLの適応がないと判断されたが,患者の状況が変化したり眼科学の進歩により適応が拡大し可能となった場合が考えられる。これらの状況での二次挿入の可能性を考えてみたい。
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