症例報告
シリコーンオイル抜去後の高眼圧に対し線維柱帯切開術が奏効した1例
山本 奈美
1
,
渡部 恵
1
,
梅津 新矢
1
,
柘野 友里
1
,
大黒 浩
1
1札幌医科大学眼科学講座
キーワード:
シリコーンオイル
,
高眼圧症
,
線維柱帯切開術
,
silicone oil
,
ocular hypertension
,
trabeculotomy
Keyword:
シリコーンオイル
,
高眼圧症
,
線維柱帯切開術
,
silicone oil
,
ocular hypertension
,
trabeculotomy
pp.181-186
発行日 2024年2月5日
Published Date 2024/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003522
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シリコーンオイル(SO)注入後の眼圧上昇の多くは抜去することで改善を得られるが,抜去後も高眼圧が持続する場合もある。今回,SO抜去後の遷延する高眼圧に対して硝子体手術併用線維柱帯切開術を施行し,良好な眼圧下降を得られた症例を経験したので報告する。患者は54歳男性,左眼の裂孔原性網膜剥離に対し白内障手術および輪状締結術併用硝子体手術を行い,SOを注入した。術後眼圧は緑内障点眼下で17~20mmHgであった。2年後のX月にSOを抜去したところ,術後より眼圧が徐々に上昇し,抗緑内障薬点眼および炭酸脱水酵素阻害薬内服下で眼圧が40mmHg以上まで上昇した。2か月後に前房洗浄,その3か月後に選択的レーザー線維柱帯形成術を行ったが十分な眼圧下降を得られず,SO抜去の7か月後に硝子体手術併用線維柱帯切開術を施行した。術後,眼圧は緑内障点眼下で14mmHg前後と安定して経過しており,SO抜去後の高眼圧に対して線維柱帯切開術は選択肢のひとつとして有効であると考えられた。
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