綜説
難治性アカントアメーバ角膜炎への角膜移植
平山 雅敏
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
キーワード:
アカントアメーバ角膜炎
,
治療的角膜移植
,
コンタクトレンズ
,
深層表層角膜移植
Keyword:
アカントアメーバ角膜炎
,
治療的角膜移植
,
コンタクトレンズ
,
深層表層角膜移植
pp.1413-1419
発行日 2023年12月5日
Published Date 2023/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003436
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アカントアメーバ角膜炎(acanthamoeba keratitis:AK)は,臨床で遭遇する感染性角膜炎において占める割合は比較的小さいものの,難治性感染性角膜炎の原因となり,正確な診断と効果的な治療戦略の構築が困難であることが多い1)。依然として多くの国で発生が継続し,米国では複数の大都市での流行も報告されている2)3)。米国や欧州においても,近年のAKの症例数の増加が報告され,予後も悪化しているとされる4)。AKの治療戦略の成否は早期発見にかかっているが,抗真菌薬を含む抗菌薬の局所療法,全身療法が奏効する場合,感染の活動性が消退した後に残存する角膜の混濁や菲薄化といった病的変化に対して光学的角膜移植(optical keratoplasty:OKP)が選択される。一方で,感染のコントロールがつかないまま切迫穿孔,ないしは角膜穿孔に至り,治療的角膜移植(therapeutic keratoplasty:TKP)の選択を余儀なくされる例も経験する5)。診察ごとに進行するAKに対しどのタイミングで治療的角膜移植を選択するか,といった課題は,専門医にとってもAKの外科的管理における論点のひとつである6)。本稿では,AKにおける近年の知見を紹介し,難治性AKに対する角膜移植について概説する。
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