特集 私の経験集 珍しい真菌の角結膜感染への対応
4 マイクロスポリディア角結膜炎
江口 洋
1
1近畿大学医学部眼科学教室
キーワード:
マイクロスポリディア
,
微胞子虫
,
塗抹検鏡
,
電子顕微鏡
,
極管
,
アルベンダゾール
Keyword:
マイクロスポリディア
,
微胞子虫
,
塗抹検鏡
,
電子顕微鏡
,
極管
,
アルベンダゾール
pp.1407-1411
発行日 2023年12月5日
Published Date 2023/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003435
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マイクロスポリディア(microsporidia)は微胞子虫と呼ばれ,水生環境で高頻度にみられる偏性細胞内寄生虫である。これまでmicrosporidiaの分類学的位置づけは繰り返し議論,修正されてきた。電子顕微鏡で観察されるその形態は,魚類に寄生するMyxozoa(ミクソゾア)と呼ばれる粘液胞子虫と類似しており,古くから原虫の一種と考えられてきた。その後の系統解析の結果,2023年11月現在では真菌の一種と考えられているが,いまだKingdom Fungi(真菌界)との関連は不明1)ゆえ,今後も修正される可能性がある。分類学的位置づけは,微生物学的には重要な問題であり,臨床的にも抗微生物薬の選択の根拠として重要ではある。しかし,わが国で使用できる眼科用抗微生物製剤に制限があるため,アカントアメーバなどの原虫感染においても抗真菌薬が使用されることが多い。そのような現状においては,治療法の選択に大きな影響を与えないため,臨床的にmicrosporidiaが真菌か原虫かを厳密に区別する必要性は高くないといえる。後記するが,真菌と分類されていても実際は寄生虫感染症の治療薬が有効と認識されている。
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