特集 感染性眼疾患に対する外科的治療
1 感染性角膜炎に対する外科的治療
稲冨 勉
1
1国立長寿医療研究センター 感覚器センター(大府市)/京都府立医科大学眼科学教室
キーワード:
感染性角膜炎
,
治療的角膜移植
,
全層角膜移植
,
深層表層角膜移植
Keyword:
感染性角膜炎
,
治療的角膜移植
,
全層角膜移植
,
深層表層角膜移植
pp.795-801
発行日 2019年8月5日
Published Date 2019/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001272
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
感染性角膜炎は前眼部疾患の中でも頻度が高く,しばしば診療でも遭遇する。しかし起炎菌となる微生物病原体は細菌,真菌,アカントアメーバなど多彩で,確定診断や治療選択に難渋することも珍しくない。感染症治療の基本は,擦過鏡検や培養検査による起炎菌の同定と感受性薬剤による治療であることは言うまでもない。しかし診断の遅れや薬剤耐性などにより十分な治療効果が得られないままに感染拡大や角膜穿孔に至る症例にも遭遇する。そのため薬剤抵抗性の症例や治療が遅れた進行例には外科的治療の介入が適応となる1)~3)。外科的治療の原則は完全切除であり,残存すると再燃により症例によっては治癒不能例に悪化することもある。また穿孔例では眼球構造維持や続発緑内障のリスクを考慮して手術のタイミングを決める必要があり,多彩な病原体や病状に対応した幅広い外科的治療を選択できるようにしておくことが重要である。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.