特集 涙道疾患の最新情報
序論
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学講座
pp.1283-1283
発行日 2023年11月5日
Published Date 2023/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003391
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今月号では,「涙道疾患の最新情報」ということで,涙道疾患と細菌感染の関係および,涙道の細菌感染を起点とするアレルギー反応を介した眼表面への影響を取りあげました。ご存じのように,急性あるいは慢性の感染性涙嚢炎の所見を伴わない白内障手術を控えた症例で,涙道閉塞が発見されることがときにあります。臨床的に涙嚢炎所見がみられなくても,結膜嚢の細菌層は大きく変化していることが明らかとなっています。さらには,長期に抗菌点眼薬が処方されているような慢性の一進一退の感染性涙嚢炎では,薬剤耐性菌の存在が背景にあるかもしれないと考えることができます。加えて,涙道閉塞に対する涙嚢鼻腔吻合術後は,鼻腔と涙嚢の腔の連続性が大きく増すことで,涙道細菌叢も影響されることが取りあげられています。
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