特集 房水のサイエンス
序論
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学教室
pp.1035-1035
発行日 2021年11月5日
Published Date 2021/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002331
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今月号は「房水」を特集させていただきました。房水の定量検査といえば,長年本誌編集委員をお勤めになられた澤 充先生(日本大学名誉教授)が開発されたlaser flare-cell meterの世界的貢献は日本人の誇りと思っています。小生が医師免許を取得した昭和63年のことを思い出しますと,大鹿哲郎先生(筑波大学教授)が東京大学ご在籍当時に,ぶどう膜炎の房水など,laser flare-cell meterを駆使され,次々と素晴らしい論文を発表され,研修医1年目の小生は一生懸命,勉強させていただきました1)。皆様もご存知のように,その後,房水はぶどう膜炎での細胞やフレアなどの病態評価だけでなく,白内障や線維柱帯切除術後の濾過胞の線維化反応への影響2),さらにはウイルス感染の場としても重要な位置を占めることが認知されるようになりました。また,角膜内皮の炎症と房水を介するウイルス感染も当時のトピックと記憶しています3)4)。その後の研究の進歩は凄まじく,今日のように先人の研究成果が一般診療レベルのものとなっています。個人的には医学研究が年月を経て,一般診療に組み込まれていく過程を見たように感じています。本特集でぜひ,房水の重要性を今一度,振り返っていただきましたら特集編纂者として光栄です。
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