特集 知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防
Ⅰ 角結膜 2 角膜移植後の遷延性角膜上皮障害
福戸 敦彦
1
,
近間 泰一郎
1
1広島大学大学院医系科学研究科視覚病態学
pp.919-924
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003283
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角膜移植後は角膜形状の変化や縫合糸の存在,角膜知覚の低下など角膜上皮を取り巻く環境が大きく変化し,術前にはなかった上皮障害がみられ,なかなか治癒しないことがある。角膜移植後の上皮障害としては,点状表層角膜症(SPK),糸状角膜炎,上皮欠損が挙げられる。特に上皮欠損が遷延すると,実質の浮腫・混濁によって視機能の回復が妨げられるだけでなく,移植片不全の原因にもなるとされ,速やかな再上皮化が求められる1)。遷延性角膜上皮欠損とは上皮全層が欠損し,治療を行っても1週間以上治癒しないものを指す2)。糖尿病などの全身疾患や,涙液分泌減少,角膜知覚低下など眼表面環境が発症に影響する。
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