私の経験
精神状態の変化が診断の一助となった前頭蓋底髄膜腫によるFoster Kennedy症候群の1例
土屋 匠麿
1
,
粕谷 友香
1
,
牧野 伸二
1
,
川島 秀俊
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
Foster Kennedy症候群
,
前頭蓋底髄膜腫
,
精神症状
Keyword:
Foster Kennedy症候群
,
前頭蓋底髄膜腫
,
精神症状
pp.879-883
発行日 2023年9月5日
Published Date 2023/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003253
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前頭蓋底髄膜腫によるFoster Kennedy症候群を報告する。46歳女性が半年前からの左眼の視力低下を主訴に受診した。神経性食思不振症,抑うつ状態による希死念慮で精神科受診中であった。受診1か月前から,活動性の低下と精神的に不安定になることが頻繁に生じていたことが家族からの聴取で判明した。初診時視力は右(1.2),左手動弁で,左眼は相対的瞳孔求心路障害が陽性であった。視神経乳頭は,右眼は著明に腫脹し,左眼は萎縮調であった。所見からFoster Kennedy症候群を疑い,頭部MRIを撮像したところ,前頭蓋底の左側を中心に巨大な占居性病変がみられ,髄膜腫が疑われた。脳神経外科へコンサルトの後,腫瘍摘出術が施行された。術後,活動性の低下や精神症状の改善が聴取された。本症例では,眼底所見からFoster Kennedy症候群の診断は比較的容易であったが,家族から聴取された患者の精神状態の変化が診断の一助となった。髄膜腫では占居部位により,さまざまな精神症状を呈することに注意が必要である。
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