特集 梅毒の眼合併症
5 梅毒性ぶどう膜炎に対する硝子体手術
大須賀 翔
1
,
喜田 照代
1
1大阪医科薬科大学眼科学教室
キーワード:
梅毒性ぶどう膜炎
,
硝子体手術
,
増殖硝子体網膜症
Keyword:
梅毒性ぶどう膜炎
,
硝子体手術
,
増殖硝子体網膜症
pp.541-547
発行日 2023年6月5日
Published Date 2023/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003156
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梅毒(syphilis)はスピロヘータ属のひとつであるTreponema pallidum(TP)の感染による全身性の性感染症である。ペニシリン系抗菌薬の登場により罹患率は著明に低下したが,近年梅毒感染者の増加やヒト免疫不全ウイルス(HIV)との合併感染例が報告され,梅毒は再興感染症として注目されている1)。梅毒性ぶどう膜炎は,梅毒の症例の2.5~5%で報告されており2),梅毒第2,3期にみられ,臨床症状は多彩で特徴的な所見に乏しい。いずれの眼組織にも炎症を起こすことがあり,眼底所見も視神経乳頭炎,嚢胞様黄斑浮腫,硝子体混濁,網膜血管炎,網膜滲出斑,網膜色素上皮炎(ごま塩状眼底;salt-and-pepper fundus)など多彩な所見を呈し得る3)4)。梅毒性ぶどう膜炎は,急性網膜壊死や進行性網膜外層壊死と鑑別を要することもある。多くは早期診断と発症早期からのペニシリンによる駆梅療法により良好な視機能を回復するが,なかには網脈絡膜炎から広範な網膜虚血をきたし,遷延する硝子体出血や増殖硝子体網膜症(proliferative vitreoretinopathy:PVR)によって硝子体手術が必要となる症例も認められる。本稿では,梅毒性ぶどう膜炎に対する硝子体手術の適応や具体的な方法などを自験例も踏まえ解説する。
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