今月の表紙
梅毒性ぶどう膜炎
吉村 佳子
1
,
熊谷 直樹
1
1山口大学眼科
pp.1851
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906636
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症例は50歳,女性で,両眼視力低下を主訴に近医を受診し,汎ぶどう膜炎の診断でステロイドにて加療されていたが,症状が増悪したため当科を紹介され受診した。初診時視力は右0.4(0.6),左光覚弁であった。右眼底の後極部に限局性の網脈絡膜の白濁した病巣がみられた。左眼底は網脈絡膜の白濁した病変,網膜出血,視神経乳頭の腫脹があり,網膜上に多数の白色の結節がみられた。梅毒反応はVDRL3+,TPHA7,815倍と陽性で,皮膚のバラ疹および梅毒性髄膜炎を合併していた。HIV抗体は陰性であった。梅毒性ぶどう膜炎の診断でベンジルペニシリンカリウムを投与したところ眼所見は劇的に改善し,治療開始後10日目には眼底の病巣部はほぼ消失した。30日目には眼底の病巣は完全に消失し,視力は右1.0(1.2),左0.5(0.8)まで回復した。治療終了後の再発はみられていない。
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