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加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)において前駆病変とはドルーゼンおよび色素上皮異常を指す言葉である。AREDS(Age-Related Eye Disease Study)など欧米のstudyでは63μmを超えるドルーゼンはAMDの進行と関連し,125μm以上であればさらにその頻度は高くなることが報告されている1)。日本人においてもドルーゼンは重要な前駆病変であり,久山町疫学研究では地域住民の8.8%に軟性ドルーゼン,5.0%に色素上皮異常を認め,9年間の滲出型AMD発生率はそれぞれ5.2%,1.8%であったと報告されている2)。日本人では欧米と比較するとドルーゼンの頻度が低く,色素上皮異常の頻度が高いのが特徴である。また欧米人と比較するとアジア人では滲出型AMD,特にpolypoidal choroidal vasculopathy(PCV)の頻度が高く,萎縮型AMDの頻度は低いことがよく知られている。このようにアジア人と白人ではAMD表現型の差異が存在する。近年,中心性漿液性脈絡網膜症やAMDの一部においてpachychoroidと呼ばれる脈絡膜血管の拡張を伴う病態が注目されている。Pachychoroid関連疾患においてはchoriocapillarisの菲薄化や脈絡膜血管の拡張・透過性亢進がよくみられる。Pachychoroidの特徴を伴い,脈絡膜新生血管が生じた状態はpachychoroid neovasculopathy(PNV)と呼ばれる3)。PNVの発生における前駆病変として色素上皮異常がよくみられ,色素上皮異常と脈絡膜病態の関連が示唆されている4)。
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