特集 超高齢化社会における緑内障マネージメント
4 高齢者における緑内障手術の選択
庄司 信行
1
1北里大学眼科
キーワード:
高齢者
,
加齢
,
認知症
,
視野障害
,
流出路再建術
,
線維柱帯切除術
Keyword:
高齢者
,
加齢
,
認知症
,
視野障害
,
流出路再建術
,
線維柱帯切除術
pp.241-248
発行日 2023年3月5日
Published Date 2023/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003055
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緑内障は40歳以上の有病率が5%であり1),加齢とともに有病率は増加すると考えられている。緑内障手術の件数に関しては,2019年~2021年の社会医療診療行為別統計によると,6月という緑内障の手術が少ない時期の集計なので単純に12倍して年間手術数が出るわけではないし,新型コロナウイルス感染症の拡大という特殊な状況下で手術制限もあったりして,その解釈は難しいが,手術が一番多い年代はどの年も75~79歳ということがわかる(図1)。次いで70~74歳,そして80~84歳という年齢層になる。85~89歳での手術数も意外に多く感じられるのではないだろうか。近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討すると,10~20年前と比較して,加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10年遅延していて,「若返り」現象がみられるとのこと。そのため,日本老年学会のホームページには,2017年1月の会議によって高齢者に関する定義は65歳から74歳までを准高齢者,75歳から89歳までを高齢者,90歳以上を超高齢者と呼ぶよう提言されている。つまり,75歳から89歳の高齢者の緑内障手術は決してまれではないし,この歳だからもう手術はしなくてもよいでしょう,という年齢層ではなくなっているということである。そうは言っても,眼の組織の加齢変化や全身状態を考えると,60代や70代の患者と同じように対応してよいわけではない。本稿では,高齢者における緑内障手術に対する私の考えを述べたい。
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