特集 感染性眼疾患に対する外科的治療
3 緑内障術後眼内炎
湯浅 勇生
1
,
廣岡 一行
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究科視覚病態学
キーワード:
線維柱帯切除術
,
濾過胞
,
硝子体混濁
,
チューブシャント手術
Keyword:
線維柱帯切除術
,
濾過胞
,
硝子体混濁
,
チューブシャント手術
pp.809-814
発行日 2019年8月5日
Published Date 2019/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001274
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線維柱帯切除術は緑内障の代表的な術式である。近年,低侵襲緑内障手術(MIGS:minimally invasive glaucoma surgery)やチューブシャント手術などの登場により,多彩な術式が試みられるようになったが,依然多くの症例に線維柱帯切除術が施行されている。線維柱帯切除術は,5-フルオロウラシル(5-FU)やマイトマイシンC (MMC)などの線維芽細胞増殖阻害薬の併用により手術成績が飛躍的に向上した。その反面,線維芽細胞増殖阻害薬使用後に形成された血管に乏しく壁の薄い濾過胞では,濾過胞感染の危険が常に存在する。濾過胞感染症の病態は濾過手術後の濾過胞に起因菌が感染し,眼内に炎症が波及するものである。濾過手術後の眼内炎は,白内障手術後眼内炎などその他の眼内炎と比較し,濾過胞の状態に影響を受けるため晩期発症が多いとされている1)2)。そのため,術後数年が経過していても感染を起こす危険性があることに注意が必要である。今回は,濾過胞感染症に関する眼内炎を緑内障術後眼内炎として解説し,チューブシャント手術後の感染症についても後述した。
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