臨床報告
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患に併発したサイトメガロウイルス網膜炎の1例
外山 裕志
1
,
橋田 徳康
1
,
浅尾 和伸
1
,
丸山 和一
1
,
西田 幸二
1
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)
キーワード:
サイトメガロウイルス網膜炎
,
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患
,
悪性リンパ腫
Keyword:
サイトメガロウイルス網膜炎
,
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患
,
悪性リンパ腫
pp.967-973
発行日 2019年9月5日
Published Date 2019/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001323
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要 約
目的
サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)網膜炎の精査過程で,メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)の可能性が考えられた関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)患者の1例を報告する。
症例
75歳女性。2015年8月頃より右眼の視力低下を自覚,近医を受診しぶどう膜炎を指摘されたため,さらなる精査加療目的で当院紹介受診となった。初診時,右眼視力低下,高眼圧を認めた。前眼部所見では前房内炎症細胞(+),角膜後面沈着物を伴う虹彩炎を認め,眼底は周囲網膜の白色滲出性病変・出血および閉塞性動静脈炎を認めた。前房水polymerase chain reaction(PCR)検査ではCMV陽性で,臨床所見も含めCMV網膜炎と診断した。既往歴にRAがあり,メトトレキサート(MTX)内服中であった。眼外病変として下腿外側皮膚に悪性リンパ腫病変を認め,内科的精査の結果,MTX-LPDと診断された。MTXの中止に伴い皮膚症状の改善が得られるとともに免疫抑制状態が改善され,CMVに対する加療によりCMV網膜炎の消退を得ることができた。
考按
CMV網膜炎は,ステロイドや免疫抑制剤の使用,ないし悪性腫瘍に対する抗がん剤使用時などの免疫抑制状態で生じることが知られており,本症例のようなMTX長期使用によるMTX-LPDに伴って発症することに留意する必要がある。
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