今月の表紙
サイトメガロウイルス網膜炎
後藤 肇
1
,
若月 優
1
,
川村 昭之
1
,
坂本 泰二
2
1日本大学病院眼科
2鹿児島大学
pp.1054
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212772
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- 文献概要
症例は16歳,男児。急性骨髄性白血病で骨髄移植を行い,生着6日後に右眼霧視を自覚し当科受診。初診時は病室管理のためベッドサイドで眼底検査を行った。右眼眼底には後極部下方に約1乳頭径の出血と白色病巣を認めた。サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を疑い,ガンシクロビル点滴を開始したが,網膜出血,白色滲出斑は急速に拡大した。初診5日後には外来検査が可能となった。視力は右眼(1.0),前房,前部硝子体中に炎症細胞を僅かに認めた。右眼眼底には下耳側血管アーケードに沿った網膜出血と白色滲出斑を認めた。また病巣部と健常網膜の辺縁に白色の点状病巣がみられた。以上よりCMV網膜炎と診断し,眼局所療法ガンシクロビル硝子体内注射を行った。抗ウイルス薬の全身投与と硝子体注射により眼底の白色病巣は消失したが,網膜は菲薄化した。
撮影には,Topcon社製眼底カメラTRC50DXを使用し,撮影画角は50°に設定した。骨髄移植後で体調が優れなかったため迅速に検査をすることを意識した。また散瞳不良で縮瞳しやすかったため観察光量を落として撮影した。
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