特集 眼疾患のガイドラインと診療指針解説とアップデート
17 抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎診療ガイドライン
三村 治
1
,
木村 亜紀子
1
1兵庫医科大学眼科学教室
pp.1329-1333
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002948
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本ガイドラインは第1章の定義,病因,疫学から始まり1),第2章の診断2)に続き,ガイドラインに特に重要な第3章の治療,第4章の予後までの4章から構成されている。特に第1章では脳神経内科領域で抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性視神経炎が本来視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder:NMOSD)の一部とみなされているものであること(改訂NMO診断基準に記載2))の再確認を行い,抗AQP4抗体陽性視神経炎が脳神経内科領域の常識とは若干異なる点を強調している。すなわち抗AQP4抗体陽性視神経炎では,長期間の経過中脊髄炎を発症せず,難治性あるいは反復性の視神経炎のみで終わるものがかなりあること3),そのため眼科医に難治性視神経炎として抗AQP4抗体陽性視神経炎の存在を周知させる必要性があることを明記した。なお脳神経内科では現在NMOSDを,抗AQP4抗体陽性のものと陰性のものとに分類する診断基準が用いられており4)5),陽性のものでは両眼重度の視力低下,不十分な視力回復,光干渉断層計(OCT)での黄斑部網膜内層の高度の菲薄化,自己免疫異常など,本ガイドラインの視神経炎と酷似した症例の報告がみられている6)~9)。
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