特集 眼疾患のガイドラインと診療指針解説とアップデート
3 重症多型滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン
上田 真由美
1
1京都府立医科大学眼科学教室
pp.1243-1253
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002934
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スティーヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)および中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)の診断と治療の向上を目指して,2004年に重症多形滲出性紅斑に関する厚生労働省調査研究班が設立された。SJSとTENは,皮膚の表皮剥離面積が10%未満か10%以上かで皮膚科において鑑別される。一方,眼科では,SJSとTEN患者のうち眼合併症を生じた急性期の患者のみならず,眼後遺症を生じた慢性期の患者を診療することが多い。慢性期においてSJSとTENの鑑別は難しいため,眼科では,眼後遺症を生じたSJS/TEN患者を,「広義のスティーヴンス・ジョンソン症候群」と呼んでいる。SJS/TENでは,重篤な眼合併症ならびにそれに続く重篤な眼後遺症を生じるため,当初皮膚科医を中心に構成された研究班に,眼科医として京都府立医科大学眼科の木下 茂先生,外園千恵先生が加わった。2005年にはSJSおよびTENの診断基準が確立され,2009年にSJS/TENの診療指針が策定され『日本皮膚科学会雑誌』に発表,その後疫学調査の結果が2011年に『日本皮膚科学会雑誌』に発表されている。その後,重症多形滲出性紅斑に関する厚生労働省調査研究班に筆者も加わり,2016年にSJSおよびTENの診療ガイドラインを策定した。本項目では,最新の診療ガイドライン1)について,筆者の見解を挟みながら,説明させていただく。
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