特集 アトピー性皮膚炎患者に対する眼科手術
3 アトピー性皮膚炎患者に対する緑内障手術
三浦 悠作
1
1高知大学医学部眼科学講座
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
MIGS
,
トラベクレクトミー
,
バルベルト
,
アーメド
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
MIGS
,
トラベクレクトミー
,
バルベルト
,
アーメド
pp.827-831
発行日 2022年9月5日
Published Date 2022/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002774
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アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)患者では,眼瞼皮膚の強い瘙痒感に対する眼掻破行動によって,白内障や裂孔原性網膜剥離,円錐角膜などのアトピー眼症を発症する。AD患者の眼瞼皮膚の瘙痒感を抑制するために,しばしばステロイド外用薬が使用されるが,それによる最も重篤な副作用がステロイド緑内障である。ステロイドの点眼や内服だけでなく,外用薬でも眼圧上昇をきたすことがある。その機序としては,眼瞼皮膚は非常に薄く他の部位の皮膚と比べてもともとバリア機能が弱いことと,さらにADによる皮膚バリア機能の低下も相まって,眼瞼皮膚に塗布したステロイド外用薬が結膜嚢内へ浸潤しやすいためである。また,皮膚瘙痒感のため,頻回に眼瞼を擦過することで眼瞼に塗布したステロイド外用薬が結膜嚢内へ迷入する可能性もある。さらに,全身の皮膚に塗布したステロイド外用薬が血行性に眼内へと移行することで眼圧上昇をきたすことも考えられる。
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