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急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)は経過中に嚢胞様黄斑浮腫(CME)を伴うことが報告されているが,本邦での報告はまれである。また,AZOORに合併するCMEの治療法について言及した報告はない。今回,AZOORの経過観察中にCMEを合併し,短期間でCMEが軽快した1例を経験したので報告する。症例は32歳女性。主訴は左眼視野異常。初診時矯正視力はEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)文字数で,右眼90文字,左眼88文字。動的視野検査でMariotte盲点拡大を伴う下方視野欠損があり,光干渉断層計で視野欠損に一致する範囲のellipsoid zoneおよびinterdigitation zoneの欠損を認めた。フルオレセイン蛍光眼底造影では黄斑部に異常はなく,後期に周辺部網膜血管と視神経乳頭の過蛍光を認め,インドシアニングリーン蛍光眼底造影で後期に黄斑部上方に過蛍光を認めた。多局所ERGで視野欠損に一致した局所的な網膜機能の低下がみられた。ぶどう膜炎の合併も考慮し全身検査を施行したが異常はなかった。抗リカバリン抗体も陰性であった。AZOORの診断となり,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼を開始した。2週間後左眼にCMEが出現し,左眼は眼圧上昇も認めたが上昇は軽度であったため,ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム点眼は減量のみで使用を継続し,ブリンゾラミド点眼とチモロールマレイン酸塩点眼を追加した。CMEは約4か月で消失し,以後,CMEの再発はないが下方の視野欠損部位は残存した。CMEは再発する可能性があることから,今後も定期的な経過観察が必要と考えられた。
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