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急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)における眼底自発蛍光
齊藤 沙宝
1
,
根木 昭
2
1北海道大学
2神戸大学
pp.1471
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104388
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42歳,男性。左眼視力の低下を自覚し北海道大学病院眼科を初診した。矯正視力は右1.2,左0.4で,前眼部,中間透光体に異常はなく,網膜も検眼鏡的に異常所見はなかった。フルオレセイン蛍光眼底造影では後期で軽度の網膜血管炎様の所見があった。Goldmann視野検査では両眼に約70°×70°の輪状暗点があり,多局所網膜電図では視野異常部位に一致して振幅が低下していた。AZOORと診断されたが,左眼視力が0.01へ低下し中心暗点となったため,ステロイドパルス療法が開始され,ステロイド薬内服は18か月続けられた。治療後早期から視力と視野は著明に改善し,視力は両眼1.5に回復した。発症2年後,網膜アーケード血管に沿って,網膜色素上皮レベルの帯状の萎縮病巣が出現した。初診から5年後の現在まで再発はない。
眼底自発蛍光は,網膜色素上皮の機能不全で過蛍光,萎縮あるいは消失すると低蛍光を示す。本症例でも萎縮病巣に一致して,左右対称性に低蛍光を示した。この所見は,網膜所見と比較してもより明瞭に観察できた。
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