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目的
小児期発症の内斜視術後に外斜視へ移行した症例の術前因子および術後経過を検討する。
対象・方法
2009年4月~2017年7月の間に手術を施行した15歳以下の内斜視112例中,術後1年以上経過観察可能で最終観察時眼位(以下:最終眼位)が10プリズムジオプター(PD)以上の外斜視を呈した18例(以下,術後XT群)を対象とした。同期間中の内斜視手術例112例中で,最終眼位が遠見近見ともに8PD以内の内斜視14例をコントロール群として,術後XTへ移行した内斜視例の術前因子(発症年齢,手術時年齢,初回アトロピン点眼下屈折値,術前近見斜視角,手術量,上下偏位の合併,交代性上斜位の合併の有無および弱視の既往の有無)および術後経過を比較検討した。
結果
術後XT群の発症年齢,手術時年齢は14.3±13.3か月,48.3±26.2か月であり,コントロール群の25.6±12.9か月,81.0±32.1か月(P<0.05)と比較して術後XT群で有意に低く,上下偏位については,術後XT群が18例中5例にこれを認め,コントロール群は14例中0例であり,術後XT群で有意に頻度が高かった(P=0.03)。また,初回アトロピン点眼下屈折値は,左右眼ともにコントロール群で遠視の度数が強かった。他の因子は,両群間に有意差はなかった。また,術直後は両群の斜視角に有意な違いはなかったが,術後XT群では術後平均1年11か月±1年7か月(8か月~6年2か月)で外斜視へ移行していた。また,術後の立体視は,立体視(+)(3,000秒以下の立体視を獲得)例は,術後XT群は18例中5例に対し,コントロール群は14例中13例でコントロール群で有意に良好であった(P<0.01)。
結論
術後外斜視へ移行する術前要因として,早期内斜視発症例および上下偏位の存在が考えられた。
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