特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅴ.全身疾患・その他 3.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
戸成 匡宏
1
1大阪医科薬科大学眼科学教室
pp.1463-1468
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002435
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)はウイルス感染やワクチン接種後に急性発症する,自己免疫機序が関与する中枢神経系の炎症性脱髄疾患である1)。発熱などの全身の炎症反応を伴い,髄膜刺激症状や意識障害,歩行障害,視神経炎等の多彩な神経症状で発症し,単相性の経過をとることがほとんどであるとされてきた。病態に関しては免疫学的機序により発症すると考えられているものの,詳細は不明である。近年,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体のADEMの病態への関与が示唆されており,疾患の概念も変化してきているが,不明な点も多く,今後研究が進み真相が解明されることがまたれる。本稿では,眼科医も知っておくべきADEMに関する臨床事項を中心に述べる。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.