特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅱ.眼球運動障害 3.甲状腺眼症,甲状腺視神経症
神前 あい
1
1オリンピア眼科病院(東京都渋谷区)
pp.1356-1360
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002418
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甲状腺眼症は自己免疫性疾患であり,眼症状の病理機序の中心的な役割を担っているのはTSH(甲状腺刺激ホルモン)受容体が発現している眼窩内線維芽細胞であると考えられている1)。外眼筋ではプロテオグリカンの沈着から間質の浮腫,外眼筋肥大が起こり,炎症の結果,外眼筋と結合組織の間に癒着を生じ,外眼筋の伸展障害が出現する。眼球運動障害は,複視の自覚症状として甲状腺眼症患者の22%にみられる。しかしCTやMRIによる画像検査を行うと甲状腺眼症患者の41%には外眼筋肥大がみられている2)ため,軽度の外眼筋肥大や両眼同程度の眼球運動障害では複視の自覚症状がみられない症例もある。
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