症例報告
三叉神経脊髄路に高信号が認められた眼筋麻痺と麻痺性散瞳を伴った眼部帯状疱疹の1例
近藤 由佳
1
,
野口 久美子
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
眼部帯状疱疹
,
眼筋麻痺
,
三叉神経脊髄路核
,
麻痺性散瞳
,
herpes zoster ophthalmicus
,
ophthalmoplegia
,
spinal trigeminal nucleus and tract
,
paralytic mydriasis
Keyword:
眼部帯状疱疹
,
眼筋麻痺
,
三叉神経脊髄路核
,
麻痺性散瞳
,
herpes zoster ophthalmicus
,
ophthalmoplegia
,
spinal trigeminal nucleus and tract
,
paralytic mydriasis
pp.1083-1089
発行日 2021年11月5日
Published Date 2021/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002339
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
三叉神経第1枝領域の帯状疱疹に伴った眼筋麻痺の症例を報告する。
80歳女性が左側の三叉神経第1枝領域の帯状疱疹を発症し,発症3週間後,下方視での複視のため紹介受診した。眼位は正位で,眼球運動障害はなく,右下方視,下方視で複視の自覚があった。瞳孔不同があり,瞳孔径は右2mm,左4mmで,対光反射は左眼で直接・間接ともに欠如していた。左眼の角膜炎と軽度の虹彩炎がみられた。頭部MRIでは左側の三叉神経脊髄路核に相当する部位に連続的に高信号が観察された。海綿静脈洞,動眼神経には異常信号はなかった。1週間後,複視の自覚が増悪し,眼位は正面でわずかな左外上斜視,下方視では左上斜視で,両眼とも軽度の上転制限がみられた。そのため,抗ウイルス薬とステロイドの内服を開始した。眼位は投与2週間後より徐々に改善傾向がみられ,3か月後には正面でほぼ正位となり,複視は消失した。本症例にみられた眼筋麻痺,麻痺性散瞳の責任病巣は特定できないが,解剖学的に離れた三叉神経脊髄路核に高信号がみられたことから,髄液を介したウイルスの伝播が原因ではないかと推測した。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.