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手術手技 私のくふう
全身性エリテマトーデスによる陳旧性膝蓋腱断裂例に対するイリザロフ法の応用
An Ilizarov Method for the Delayed Repair of the Chronic Patellar Tendon Rupture in Systemic Lupus Erythematosus
中村 豊
1
,
大関 覚
1
,
荻原 章弘
1
,
菅野 吉一
1
,
野原 裕
1
Yutaka Nakamura
1
1獨協医科大学越谷病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Koshigaya Hospital, Dokkyo University School of Medicine
キーワード:
systemic lupus erythematosus
,
全身性エリテマトーデス
,
patella tendon rupture
,
膝蓋腱断裂
,
Ilizarov external fixation
,
イリザロフ創外固定
Keyword:
systemic lupus erythematosus
,
全身性エリテマトーデス
,
patella tendon rupture
,
膝蓋腱断裂
,
Ilizarov external fixation
,
イリザロフ創外固定
pp.715-719
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903568
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抄録:28歳の女性の全身性エリテマトーデス(以下,SLE)に併発した,稀な陳旧性膝蓋腱断裂の治療経験を報告した.12歳よりステロイド療法を受けていたが,27歳時に転倒して膝蓋腱を断裂し,13カ月後,随意的伸展不能を主訴に当科を初診した.膝蓋骨は正常側に比べて8.7cm上方に偏位しており,膝蓋腱部の陥凹を認め,膝蓋骨は徒手的に2cmしか下降しなかった.単純X線写真では膝蓋骨高位,MRIではT1強調像で低信号な膝蓋腱像の不連続性を認めた.膝の関節可動域を維持するために,continuous passive motion(以下,CPM)を継続しながら,イリザロフ法により10週間かけて膝蓋骨を引き下げ,大腿四頭筋の拘縮を軽減した.膝蓋腱の再建には停止部を温存した半腱様筋腱と薄筋を膝蓋骨に逆U字状に通し,ポリエチレンメッシュに連結して𦙾骨外側にステープルで固定し,さらに大腿四頭筋腱様部を翻転して補強した.術後3年間観察したが,extension lag,関節可動域制限,日常生活に障害はない.陳旧性膝蓋腱断裂では.腱再建前にイリザロフ創外固定器を用いて膝蓋骨を引き下げて大腿四頭筋の拘縮を十分に軽減することが安全かつ有用であった.
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