原著論文
角膜不正乱視による視力低下症例に対するレーザ網膜走査型眼鏡の検討
野崎 浩希
1
,
荒井 宏幸
2
,
戸田 郁子
3
,
島﨑 潤
4
,
坂谷 慶子
2
,
三木 恵美子
3
,
福本 光樹
3
,
田 聖花
3
,
水野 未稀
3
,
菅原 充
1
1株式会社QDレーザ
2みなとみらいアイクリニック(横浜市)
3南青山アイクリニック東京(東京都港区)
4東京歯科大学市川総合病院眼科
キーワード:
RETISSA
,
Maxwell視光学系
,
網膜走査
,
視力補正
,
円錐角膜
,
不正乱視
Keyword:
RETISSA
,
Maxwell視光学系
,
網膜走査
,
視力補正
,
円錐角膜
,
不正乱視
pp.371-379
発行日 2021年4月5日
Published Date 2021/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002091
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角膜不正乱視のため眼鏡矯正視力が不良な患者を対象としてRETISSAメディカル(QDレーザ社:以下,本機器)の視力補正効果および安全性の検証試験を実施した。
対象は眼鏡矯正視力が0.3未満の円錐角膜患者15例16眼で,視力,読書速度,臨界文字サイズ,読書視力について眼鏡矯正と本機器装用での比較を行った。
視力(logMAR)は裸眼,眼鏡,本機器でそれぞれ1.490±0.206,1.284±0.224,0.889±0.199であった。眼鏡矯正に対する本機器の最小二乗平均の差は−0.395(95%CI:−0.549~−0.241,P<0.001)であり,本機器は眼鏡よりも有意な視力補正効果が得られた。また,読書速度(IReST),最大読書速度(MNREAD-J),臨界文字サイズ(MNREAD-J),読書視力(MNREAD-J)の比較においても,本機器装用で眼鏡矯正よりも良い結果が得られ,読書速度(IReST),臨界文字サイズ(MNREAD-J),読書視力(MNREAD-J)では統計的に有意な差を示した。有害事象として,軽度の結膜充血が1件(6.3%),軽度の上咽頭炎が1件(6.3%)発現したが,いずれも因果関係は否定された。不具合の発生,重度の有害事象は認められなかった。
本機器は角膜不正乱視により眼鏡矯正では十分な視力を獲得できない患者において有用かつ安全な視力補正の選択肢になると考えられる。
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