特集 緑内障患者におけるビジョンケア
序論
富田 剛司
1
1東邦大学医療センター大橋病院眼科/済安堂井上眼科病院(東京都千代田区)
pp.829-829
発行日 2020年9月5日
Published Date 2020/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001791
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今月の特集は緑内障患者のビジョンケアである。眼科医療にとってすべての眼科疾患の治療はとりもなおさず患者のビジョンケアを目指して行われている。その中でことさら緑内障患者に関するビジョンケアをとりあげる理由は何か。また,ロービジョンケアではなく,何故ビジョンケアなのかという理由については,岐阜大学の川瀬先生が詳しく述べられている。川瀬先生も述べているように,緑内障は“今そこにある危機”が実感しにくい疾患であり,さらに自覚症状が出た段階でも各患者の社会活動性や性格等によりケアのニーズが一人ひとり異なるという難しい面を持っている。我々眼科医は特に白内障における手術の劇的なビジョンケア効果を実感しているだけに,目に見える形で効果が判然としない,しかも,患者もあまり喜ぶことの少ない緑内障のビジョンケアには苦手意識を感じることも多いと思われる。しかし,現実には一定の割合でそのような緑内障患者は存在し,その対応は避けて通ることはできない。患者の言葉に耳を傾け寄り添っていく姿勢が今までやや欠けていたのではないかという反省を踏まえて組まれたのが本特集である。
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