症例報告
Owl’s eye様の構造物をスペキュラーマイクロスコープで観察できたサイトメガロウイルス角膜内皮炎の1例
三浦 健
1
,
橋田 徳康
1
,
西田 幸二
1
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)
キーワード:
サイトメガロウイルス
,
角膜内皮炎
,
ふくろうの目
,
スペキュラーマイクロスコープ
,
cytomegalovirus
,
corneal endotheliitis
,
owl’s eye
,
specular microscope
Keyword:
サイトメガロウイルス
,
角膜内皮炎
,
ふくろうの目
,
スペキュラーマイクロスコープ
,
cytomegalovirus
,
corneal endotheliitis
,
owl’s eye
,
specular microscope
pp.409-415
発行日 2020年4月5日
Published Date 2020/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001628
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サイトメガロウイルス(CMV)角膜内皮炎患者の角膜内皮細胞内において,スペキュラーマイクロスコープを用いowl’s eye様構造物を観察できた1例を報告する。
80歳男性。右眼の角膜浮腫と前房内炎症の精査を目的に当院紹介受診となった。初診時,眼圧上昇を伴う前房内炎症・水疱性角膜症・角膜後面への環状に配列した角膜後面沈着物(coin-shaped lesion)・ スペキュラーマイクロスコープによる角膜内皮細胞密度の減少を認めた。ウイルス性角膜内皮炎を疑い,前房水PCR(polymerase chain reaction)を施行した結果,CMV陽性でCMV角膜内皮炎と診断した。スペキュラーマイクロスコープで撮影した画像において,細胞内に低輝度の領域の中に比較的高輝度の領域が認められいわゆるowl’s eye様構造物が確認された。治療として,バルガンシクロビル錠(1,800mg/日)内服と0.5%ガンシクロビル点眼(6回/日)が開始され,最終的に角膜浮腫の改善・眼圧の正常化・角膜後面沈着物の消失が得られた。スペキュラーマイクロスコープにおけるowl’s eye様構造物は,治療や臨床症状の有無にかかわらず存在していることが観察された。
スペキュラーマイクロスコープによる内皮面の観察は,CMV角膜内皮炎の補助診断や病態観察において有用である可能性が示唆された。
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