綜説
PACDとは? ─最近の考え方とその対応法─
酒井 寛
1
1浦添さかい眼科(浦添市)
キーワード:
原発閉塞隅角緑内障
,
原発閉塞隅角病
,
ISGEO分類
,
疫学調査
,
ランダム化比較試験
,
primary angle closure glaucoma
,
primary angle closure disease
,
ISGEO classification
,
epidemiological study
,
randomized controlled trial
Keyword:
原発閉塞隅角緑内障
,
原発閉塞隅角病
,
ISGEO分類
,
疫学調査
,
ランダム化比較試験
,
primary angle closure glaucoma
,
primary angle closure disease
,
ISGEO classification
,
epidemiological study
,
randomized controlled trial
pp.41-48
発行日 2020年1月5日
Published Date 2020/1/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001517
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原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma:PACG)はおそらく最も古くから認識されていた緑内障病型であり,治療法のなかった時代においては急性発作から失明に至る疾患として理解されていた。1851年にHelmholtzが,初めての実用的な眼底鏡(半透鏡を用いた間接鏡)を開発したことから緑内障が視神経の疾患であることが理解されるようになった。その時代において,緑内障という用語は,急性または慢性のPACGを指していた。1854年,von Graefeは緑内障に対する手術,すなわち周辺虹彩切除術を初めて報告したが,同時に,amaurosis with cupping(視神経乳頭陥凹を伴う黒内障),つまり,眼圧上昇(眼圧計自体も彼が考案したものを使用していた)はないけれどもPACGと同様の視神経乳頭変化を持ち同様に視力障害をきたす類縁疾患(と考えられていた),に対しても眼圧を多少なりとも下降させられればとの考えから周辺虹彩切除術を行う,と記述している。眼圧測定が今より正確でなかったという背景があるにしても,正常眼圧緑内障(NTG)を含む原発開放隅角緑内障(POAG)についての洞察が行われていたことは驚きであるが,用語としては緑内障とは異なる疾患として記載されていた。この時代,瞳孔ブロックの概念はなく,周辺虹彩切除術の作用機序は不明であった。また顕微鏡がなく,Graefe knifeにより行われたこの時代の手術を考えれば,周辺虹彩切除術が濾過効果を持っていた可能性も考えられる。
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