網膜橋渡し研究アップデート
4.遺伝子治療
大石 明生
1
1京都大学大学院医学研究科眼科学
pp.513-517
発行日 2019年5月5日
Published Date 2019/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001171
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遺伝子治療というコンセプトは1970年頃から提唱されてきたもので,1990年代にアデノシンデアミナーゼ欠損に対する臨床試験で脚光を浴びた。その後2000年代に入りアデノウイルスによるsystemic inflammatory response syndromeの発症による患者の死亡,レトロウイルスの作用による白血病の発症という有害事象により,一度は過度な楽観論が後退したものの,研究は着実に進められ実際に薬剤として承認される例も生まれつつある1)。なかでも網膜は局所的な投与が可能であり,投与量も比較的少なくすむこと,免疫寛容があること,などから対象組織として有望である。本稿では網膜疾患の領域における遺伝子治療の現状を概説する。
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