増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅴ.各種検査法の特徴とその適応と限界
4.遺伝子検査
山本 健二
1
1東京大学医学部附属病院分院検査部
pp.77-78
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902746
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はじめに
コッホらが,人間の病気の一部は微生物が起こすと考えるようになって以来,人類は肉眼では見えざる敵(微生物)と戦ってきた.戦うためには,まず敵を知らなければならない.そこで分類法が発達した.以前より微生物の分類法として,存在する場所(腸内細菌など),コロニーの大きさ,様子(ラフ,スムース),におい,運動性,栄養要求性(選択培地など),その顕微鏡下での形や大きさ(球菌,桿菌など),特定の色素に染まるかどうか(グラム染色など),また特定の抗体が認識できるかどうかなどを利用して行われてきた.
微生物の同定検査法に遺伝子を利用する技術が近年進歩している.それまで遺伝学的マーカーとして表現形質が主に用いられてきたが,現在,遺伝子そのものがマーカーとして利用できるようになった.この遺伝子を利用した微生物検査法を紹介し,その利点,欠点を考えたい.
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